「高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置」を開発  三菱電機

世界最高出力でガラス等の高速微細加工を実現

三菱電機は、大阪大学、スペクトロニクスとの連携により、次世代のレーザー加工装置として、高速に微細加工ができる『高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置』の試作機を開発した。

その発表説明会が、三菱電機 先端技術総合研究所の佐藤智典所長、大阪大学 レーザー科学研究所の吉村政志教授ら説明者4名が出席のもと、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンライン形式にて行われ、兵庫・尼崎市の三菱電機 先端技術総合研究所と大阪・吹田市にある大阪大学およびスペクトロニクスをつなぎ、6月22日にLIVE配信された。

なお、「深紫外」とは波長=ナノメートル/nmを指し、「ピコ秒」とはパルス幅を指す(1nmは10億分の1メートル、1ピコ秒は1兆分の1秒)。

三菱電機の高出力増幅器、加工光学系の設計技術、大阪大学・吉村教授の深紫外レーザー発生用結晶の開発技術、スペクトロニクスのレーザー光源の開発技術の3つを結集し誕生した、従来の限界を超える高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置とは、三菱電機にとってはどのような開発だったのか。

周知のとおり三菱電機は主に2種類のレーザー加工装置を開発、製造・販売している。

ひとつは金属板の切断、溶接に用いられる二次元および三次元のレーザー加工機であり、もう一方はスマートフォン等の電子機器に搭載される電子基板への穴あけを主な用途とする微細レーザー加工装置である。

このうち微細レーザー加工装置には、数十μmの比較的大きい穴加工を高速で行うことができるCO2レーザーを搭載した加工装置と、より微細な加工向けに波長355nmのUVレーザーを搭載した加工装置がある。

今回の開発は、そのUVレーザーよりさらに微細で高品位な加工を実現するための取り組みとなった。

では、どういった用途でそのような極微細な加工が必要になるのかを、微細加工のターゲットのひとつである半導体チップを実装するパッケージ基盤を例に挙げれば、概ね、次のようになる。

スマートフォンやデータセンターで用いられるプロセッサー(コンピュータ本体のデータ処理装置)は半導体チップとパッケージ基盤で構成されており、パッケージ基盤は高密度な配線を実現するために多層構造となっている。

コア層同士の電気接続のためにビアと呼ばれる穴が多数形成されるが、このビア加工に微細レーザー加工装置が使用されている。

ビアを形成するビルドアップ絶縁層は、ガラスと樹脂の材料でできているが、加工される温度やレーザー光の吸収しやすさが異なる複数の物質で構成された複合材料は、高品位に加工することが非常に難しい。

例えば樹脂だけが加工され、ガラスの粒子が穴の中に残ってしまうことがあったり、逆にガラス加工のために十分な熱を与えると、加工したくない領域の樹脂までダメージを与えてしまったりする。

そんな中、ビア径への要求は年々小径化してきており、ガラス基板や樹脂基盤に対して、5~10μm径の高品位な加工が求められるようになってきている。このように、今後さらなる微細化が進展すると予想される半導体パッケージに対応するために必要なレーザー加工技術として、深紫外ピコ秒レーザー加工装置の開発に至った。

今後は、同試作機の早期実用化を目指す。