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[264A]ジーネット決算報告会 イスカル切削工具の販売取引開始、堺・新物流拠点はGW明けに稼働

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ジーネット(本社=大阪市中央区)は3月21日、生産財関連のメディアを対象に、2023年12月期の決算報告会を開催した。

報告会では、古里龍平社長がジーネットを含めたフルサト・マルカホールディングスの2023年12月期決算(連結)を説明した。売上高は1,729億8千万円(前年同期比6・5%増)、営業利益は57億5百万円(同3・2%減)で、当期利益は446億9,800万円(同3・7%増)となった。

機械・工具が業績牽引(23年12月期)、「今年度上期は厳しい見方、下期に挽回へ」(古里社長)

セグメント別では、「機械・工具セグメント」は、堅調なEVや半導体関連を背景に、売上高は1,171億2,800万円(同9・4%増)、営業利益37億5,800万円(同16・2%増)と、売上・利益ともに全社の業績を牽引した。このうち海外売上高は、316億9千万円(同6.0%増)で、北米では射出成形機が前年度の大量受注の反動から販売量は減少したものの、工作機械ではテリトリーの拡大などにより売上が増加したという。

海外市場について、古里社長は、「米国は減速の動きが顕著なものの、メキシコは好調を維持している。中国は全体的に厳しい状況が続いており、東南アジアは国別に違いはあるものの総じて堅調な動きにある。ただ、中国を含めたアジア地域では自動車を中心とした日系企業の勢いは減速傾向にあり、産業構造の変化に対応した取り組みが必要になると認識している」との見解を示した。

「建設資材セグメント」では、建設コストの高騰などにより主力の中小物件の不振が影響し、売上高452億4,100万円は同3・3%増となったが、営業利益は19億8,700万円(同23・8%減)の増収減益。「建設機械セグメント」は主力商品が、大手トラックメーカーのエンジン問題の影響を受け、売上76億5百万円(同14%減)、営業利益8,100万円(同42・7%減)の減収減益。「IoTソリューションセグメント」はグループ会社との協業による付加価値の高いソリューションビジネスに注力したことにより売上高30億4百万円(同10・8%増)、営業利益3,800万円で前年同期比9,500万円増となった。

中計最終年度(26年)は売上高2千億円・営業利益100億円達成へ

24年度から第2ステージとなる中期経営計画「UNISOL」の進捗状況については、「最終年度(26年12月期)の目標『売上高2,000億円、営業利益100億円』達成に向けての成長のスピードを加速させる」とし、統合シナジー効果の進捗についても、「エンジニアリング事業強化の具現化や自動化・省人化での効果が着実に進展しているほか、事務所の集約による経費削減効果も表れている」と述べた。

続いて、大阪・堺市に新設した新物流拠点『UNISOL L.C.OSAKA』についてはすでに引き渡しを終え、ゴールデンウィーク明けに本格稼働すると明らかにし、スペース拡大による作業効率向上や、新物流管理システム導入による在庫管施策強化などを展開し、「2024年問題に対応する」とした。

その上で、24年度の通期業績予想は、売上高1,740億円(通期増減率0・6%増)、営業利益55億円(同3・6%減)、経常利益63億円(同5・3%減)、当期純利益42億円(同10・6%減)と利益ベースでは前年を下回るとした。

古里社長は、「上期は受注残高の減少や新物流センター、システム投資等による販管費増加などにより、厳しい見方をせざるを得ないが、下期は挽回を見込んでいる」とふれた。

次いで、同社・大谷秀典常務取締役営業本部長が、24年上期の営業活動を報告した。はじめに、得意先販売店とともに、エンドユーザーに最新の加工技術や製品情報を提供することに重点を置いた展示会活動を展開していると強調。2月21~22日にポートメッセ名古屋で開催した「中部機械加工システム展」は機械・機工メーカーの175社が出品。会場ではブラザー製工作機械を使用した実演加工や各技術セミナー等を実施し、ユーザー2,043名・販売店988名の計3,031名が来場した。また。3月6~7日にはインテックス大阪で「大阪機械加工システム展」を開催。機械・機工メーカーの181社が出品し、ユーザー1,857名・販売店775名の計2,632名が来場した。会場内では、工作機械を使用した実演加工を展開し、盛況の模様を報告。大谷常務は、「今後もエリアや営業拠点ごとでの提案型展示会を展開するほか、11月開催のJIMTOF2024には、マルカが共同出展する」と言及した。

次に、商品戦略についてふれ、今年1月よりイスカルジャパンの正規代理店となり、イスカル社製切削工具の販売取引を開始したことで、「切削工具の品揃えを拡充し、多様なユーザーニーズに対応した提案営業を推進していく」(大谷常務)と説明。さらに、3DCADデータを基にNCプログラムを自動で出力するアルム社製NCプログラム自動生成ソフトウェア『ARUMCODE(アルムコード)』の機能やサービス内容を紹介し、現在は82社の製造ユーザーと契約しており、新バージョンの拡充をはじめ、製造現場での完全自動化実現をサポートする「CSP(カスタマー・サービス・プロジェクト)」の成功事例を解説し、さらなる拡販に注力するとした。

さらに、機工関連の海外・オリジナル新商品やバリ取り・環境改善機器、切削加工の生産性向上対策(イスカル編)、工場電気・エアの省エネ・環境対策、工作機械の生産性向上対策など、24年上期「かんたん解決カタログ」を紹介し、今期の営業展開をアピールした。


▲記者発表に臨む古里社長。右は大谷常務(マルカビル会議室)

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