濾過システム『Ecolo Matic Filter』ユーザー「ギケン」

138mytec 「人絹王国」とも称されるように、太古の昔よりテキスタイル製品が主要産業となっている福井県。その県立公設試験研究機関のひとつ、福井県工業技術センター(以下、センター)から、あるオファーが発せられたのが4年前のこと。
 それは、繊維は繊維でも「炭素繊維強化プラスチック=CFRP」の穴あけ加工に対するドリルで、福井県が特許を持つ特殊形状ドリルの試作だった。
 硬い層と軟らかい樹脂との「編み」合わせであるCFRPは、金属に比べ軽量で強度が高く(比重で4分の1、強度で10倍)、金属部品に成り替わり、90年代以降は航空機や自動車産業などへ、その用途を拡げているのは知られるところだが、同時に、その穴あけ加工に於いては、工具の刃を著しく摩耗させ、バリの発生やデラミネーション(層間剥離)を引き起こす・・・といった課題までをも含めてが、その「特性」といえる材料だ。 

写真:エコロ・マチック・フィルター

 これら、加工コストや製品強度に直結する問題点を解決すべく、名立たる大手切削工具メーカーをはじめ数十社に声掛けがなされた中、結果的に「唯一、受ける」ことになったのが石川研磨製作所(東京・品川区)であり、後に、特許の実施許諾と技術移転を受け、新たに「ギケン」との名で別会社を設立、福井県坂井市にも根を下ろした(平成24年5月)。
 「当時、CFRP加工用ドリルといえば、大手2社だけが手掛けており、片や受注生産品、もう一方は標準品だったものの、40穴しか穿孔が持続せず、しかも1本で2~3万円と高価だった」と石川義一社長は振り返る。
 この40穴を基に、試作を請負った初年度には、まずはその倍の80穴を目標とし臨んだのだが、実際にはなんと、その10倍である「800穴」を達成。途中、「もちろん、想像を絶する困難な開発だった」との感想は抱きつつも、この新しいドリル形状の開発は、以降、2年目に1600穴、3年目には2000穴超え、と順調に実績を積み重ね、『GK ハイブリッドドリル』の誕生となった。  「直近、3000穴まで至っており、完成度は高い。形状もほぼ完成している」。  同製品には、ナノダイヤコートとノンコートがあるが、これまで不可能だったノンコートでのCFRPの穿孔に成功し、「300~500穴でもバリが微小で、デラミネーションも熱も出ない」といった点は特筆される。また、ノンコートの価格についても「ダイヤモンドコート付きの約3分の1程度であり、再研磨も可能になるため費用対効果も良い」と続ける。
 センターではこれまでに他社製ドリルでの穿孔試験を行ってきたが、「やはり、1000穴は持続しなかったと聞く」中、センターを「良くも悪くも?」最も驚かせたのは、同社の設備状況だったという。他社での、ワルターなど海外の工具研削盤メーカーの新鋭機が「万全に」設備されての状況とを見比べてのことだ。
 「センターの研究担当者が当社の設備群を見た瞬間『エッ?・・・』と首を傾げた。その当時、CNCでは牧野フライス精機製『CNJ2‐W』が1台あっただけで、他社に比べて遜色があると映ったのだろう。そんな当社で研究開発通りの製品がつくれていることに対し『不思議感』を漂わせていた」。
 こうして、「バリ取りの二次加工がなくなる」という、従来の常識を覆すCFRP穿孔ドリルを「現実につくってくれる唯一の」メーカーとなった同社に対しセンターから、ナノダイヤモンドコート付きで2500穴(板厚5㎜)を達成した平成23年の秋、今後、福井県と共同研究を行いたいとの思いから、「はじめてこの地に来たのが昨年の3月だった」と事は運ぶ。現在は、CFRP、CFRTP、鉄、アルミ、ステンレス、アクリル用バリなしGKハイブリットドリルがある。
 昨年9月移転の新工場での設備は品川本社からの移設分の他、昨秋には、ZOLLER製測定機などが新たに加わったが、CNC工具研削盤では、ANCA製(RX‐7)の初導入に伴い、研削液のスラッジを濾過するフィルターシステムにも「拘り」を見せたという。
 これまでの濾過装置は、「原因がよくわからないのだが、ある日突然、キレイにならなくなる。何より、メンテナンスに『手間』がかかるのが困る」が常だったという中、推奨の付帯機種ではなく、今回敢えて選んだのが、マイ・テクノス社製『Ecolo Matic Filter』(エコロ・マチック・フィルター)だった。  エコロ・マチック・フィルターとは、従来とは違う独自方式によるフィルター部の設置方法や形状などにより「重くなったスラッジをフィルター部から剥離分離することで下部へ排出しながら濾過を行うシステム」であり、平成20年の販売開始以来、全世界で400台以上の出荷実績があり、現在でも「ノークレーム」を続ける「ものづくりの町・東大阪産100%」の濾過システムだ。
 知るきっかけとなったのは、都内の同業他社の工場内で目にしたことから。「今、面白いフィルターがある。これに勝るフィルターはない」などの助言もあり、また「理論的に理に適っている」と採用に至った。
 これまでの約半年の使用感を、「元々、週に2~3度のバルブ開閉でスラッジ排出をするだけの簡単メンテを、価格は同じで、それを自動化してもらった。また、これら性能も去ることながら、人的な細かいアドバイスやサービスが適格。何しろ、特殊なつくり方、モノばかりなのでありがたい」と話す評価はそのまま、5月末にさらに新規設備した、牧野フライス精機製CNC工具研削盤「AGE30」へのリピートで証明されているといえる。
ユーザー通信138号(2013.6.1)掲載