ユーザー通信191号 工場、ついて行ってイイですか?

工場、ついて行ってイイですか?

小田製作所【大阪・富田林&大阪狭山】

 

 

 

展示会場から即興で向かった工場では、近畿圏では2社のみに現存する稀少な「スウェージングマシン」が活躍していた!

10月初旬、大阪南港のインテックス大阪で開かれていた某ものづくり専門展で、本紙の来場者取材の求めに応じた小田昭彦社長は、金属小物プレス加工やブレーキ曲げ加工、タップ立てなどを生業とする。

聞けばその所在地は、大阪南部の中核都市、富田林市。たまたま、記者とは帰宅方向が近いということで、取材の勢いそのまま、「見てほしい機械がある、今から工場へ案内する」と、なんと即興で招かれることになった。

車に同乗し辿り着いた先は、堺市の最東南・美原区と大阪狭山市のほぼ境界線上。富田林市ではなく、ここが2年前に操業を開始した、小田製作所の第2工場とのこと。

実はこの工場の中では、近畿圏ではたった3台しか現存しないマシンが活躍していた。その機械とは、スウェージングマシン。マシン自体は2台設備しているが、そのうちの1台が「この太さ(Φ40mm)を加工できるところがない」稀な機種だという。

さらに、「厳密にいえば、3台中1社は実質の廃業状態なので、2社でしか現存しないことになる」と小田社長。
後継者不足により廃業を余儀なくされた元の持ち主から、共通の取引先を介して入手、導入し、スウェージングマシンとともに仕事ごと引き継いだのが約2年前だった。

「周辺(堺近郊)はパイプ加工関連の事業所が多いこともあり、正直、仕事は獲りにいかなくても『これ、見積ってくれる?』といった感じで、ペース良く流れてくる」。

スウェージングとは回転冷間鍛造、圧延。マシン自体は、新潟の三条地区をはじめ全国規模でみれば、その数は決して少なくはないものの、「広義でいえば、注射針もスウェージング加工によるもので、卓上型の機械のニーズは多い」そうだ。

現状、小田製作所では、パイプ椅子の部品などをメインに、「要は、円筒形で徐々に細くなっていくもの」の1次加工を担っているが、すでに「曲げ加工など2次加工も視野に入れている」と拡大基調を示す。
事実、同社では折しもこの第2工場稼働と符号するかのように、ここ2年間で売上高は約3倍に伸びたという。

富田林市の本社工場では、ほぼ時を同じくして、ロッカーキーのねじ止めを用途とするワッシャーの生産を始めた。
この案件は、メーカーが元々は中国に出していた仕事だったが、中国の外注先では量産には応じるものの、最近、単価の上昇が著しいうえ、なにより一番の問題は不良率が高い(例・年間100万個のうち約30万個がアウトのケースも)ことだった。それに対し小田社長は、
オーダーマシン(タッピングセンタ)による自動化、全品ゲージチェックも可能をメーカーに提案し、仕事を取り込んだ。
「単価はキツい(中国単価に近い)ものの、0・2~0・3%程度の不良率は問題なし」と、従来にはなかった仕事が新たな柱にもなりつつある。

第2工場に話を戻せば、スウェージング加工では、やはり中国での生産が大半とはいえ、一部、国内に残っている仕事を引き継いだものもあり、「いずれにせよ、やはり量産品になればなるほど、中国事情が絡んでくる」としたうえで、「最近、形状が変化してきているバイク用のバックミラーの仕事も、すでに手掛けだしている」など、同社では総じて、「それだけではやっていけるわけではない仕事の集合体」が業績を押し上げているといえる。
ひょんなことから突如、小田製作所を訪ねた時期は季節柄、そして場所柄、「ちょうさじゃぁ~、ちょうさじゃぁ~」と地車(だんじり)曳きの掛け声が響く中だった。
余談ながら、この「ちょうさじゃぁ~」の語源とは、幕末の「長州(ちょう)と薩摩(さ)が来たぞ~!」と民衆を煽る声=お祭り騒ぎ、に由来すると聞いたことがある。
それになぞらえば、小田社長にとってこの掛け声は、「また新しい仕事が来たぞ~!」とも聞こえているのかも知れない。