DMG森精機 更新需要グローバル50万台のなかでシェア高める

19年度決算は売上高3%減・営業利益3%増
20年度は売上高4千億円・営業利益2百億円を計画

受注構成で航空・宇宙が伸長し自動車と同比率(16%)に

 

DMG森精機(本社=名古屋市中村区名駅)は2月14日、2019年12月期(2019年1月1日~12月31日)の決算発表を行った。
同日午後には同社東京グローバルヘッドクォータ(東京都江東区潮見)にて森雅彦社長が会見に臨み、名古屋本社とテレビ会議で結び決算概要、事業環境、重点施策について報告した。

連結経営成績は、売上収益4858億円(前年度比3・1%減)、営業利益373億円(同3・0%増)、税引前利益314億円(同0・6%増)、当期純利益188億円(同2・6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益179億円(同2・8%減)、当期包括利益合計額202億円(同88・7%増)。なお、全社受注は前年度比22・9%減の4094億円となった。

森社長は、「業種分散が進み、航空・宇宙向け構成比が自動車関連向けと同等の16%となり、これに加え、5軸化・システム化の増加により、機械1台あたりの平均受注単価が前年度比6%増となった。また、全世界での豊富な据付け台数(約30万台)をベースに、補修部品、サービス受注が前年度比3%増と続伸した」等と概観した。

そのうえで2020年度については、全社受注4200億円(前年度比約3%増)、売上高4千億円(同13%減)、営業利益2百億円(同46%減)と計画する。

森社長は、「昨年の第4四半期が景気の底であると確認できており、今年は少し回復すると考えている。ある意味、大変自信を持っており、当社の中国への受注依存度は大変低く(6%)、米州、欧州の状況が比較的好調であり、この数字は確実に実施する」とし、質疑応答で相次いだ新型コロナウイルスの感染拡大に関して、今期業績や業務に係る影響については「すべて織り込み済み」との見解を示した。

なお、事業環境、重点施策を森社長は、概ね、次のように述べた。

 

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19年度の四半期業績推移を見れば、第4四半期(10~12月)では18年に比べて19年の利益率は下がったが、これは為替の条件が違うことと、受注の下降、それに在庫を徹底的に減らしたことによる利益消去が発生しているためで、あくまで次の回復局面の売上高5~6千億円に到達する頃には、確実に10%以上の営業利益を出せる体制になってきたとの感触を持っている。

営業利益の増減を分析すれば、プラス要因で77億円、マイナス要因で67億円。プラス要因の中ではサプライチェーンの改善で+30億円。もうすでに忘れ去られ気味だが、18年の第1~第2四半期頃は、特にリニアガイドの調達等でサプライチェーンが大変混乱していたが改善が進み、20年においてもサプライチェーン全体の見直し、利益の改善を図る。

20年の売上高見込み4千億円のうち、受注残とパーツ、サービス関係でほぼ3千億円ほどは見えており、期中での成約・売上は1千億円程度が読みどころ。
地域別受注構成では、プロジェクトはあるが買い控えているという状況が日本(15%)とドイツ(14%)。ドイツを除く欧州(ロシア・トルコ・中東・アフリカ含め38%)は減少しているものの比較的強く、米州(21%)が堅調に推移している。中国(6%)、アジア(6%)はお客様が早く成熟し当社の機械を欧米、日本並みに使っていただけるのを待ちつつ、しっかりと現場の社員を育成して、最先端の機械を販売し、サービスし、アプリケーションしていく。

機械本体の受注は、20年1月の日工会の受注速報では、当社のシェアが上がっている。まだ1月だけだが、2月にはドイツ・フロンテンでの、デジタル化の進んだすばらしいオープンハウスが大変好調だった。3月には米国と日本で大きなプロジェクトが入ってくるので、昨年の第4四半期でほぼ底打ちが確認できたのが、現在の引き合い状況である。

当社の機械は現在、全世界で約30万台が稼働しているが、うち10万台が20年以上の古い機械で、比較的単純な旋盤や立形マシニングセンタが、旋削機能付きや同時5軸制御機械に代替している。

これにより、従来、平均2千万円前後だった機械受注単価が3千万円ほどになり、そこに計測や研削機能を搭載するとプラス1千万円で4千万円、ロボットを1台装備すれば、さらにプラス1千万円の計5千万円になる。こういったことが世界中で行われている。

このように、10万台がここ4~5年間で置き換わっていくが、10万台が全てではなく、おそらく4~5万台に置き換わる。当社の世界シェアはおおよそ10%であることから、2020~2030年の間に、約50万台の更新需要が見込まれる。

1万台生産すれば売上高が5千億円、1万2千台なら6千億円になるので、十分にキャパは持っている。この10年間で最低10万台、最大で15万台、この更新需要のなかでシェアを高めていきたい。

受注構成を見れば、業種別では、航空・宇宙が自動車・二輪と同比率(16%)となった。加えて、真空ポンプなど半導体の特に上流工程、チップの製造工程に関わる機械の需要が強まっており、さらに自動車の軽量化やプラスチック化、FRP化に伴って金型(9%)の需要も増えてきている。メディカルの5%はここ4~5年間に確実に10%以上に伸長するだろう。

規模別では、500名以下のお客様が80%近くであり、最も景気動向に敏感な中堅・中小企業のお客様が多い。こういったお客様方と同じ目線で話をしていくことが非常に大事である。

 

 

今夏からAMの受託生産開始

機種別では、5軸加工機が38%、複合加工機が26%と、ほぼシンプルな機械はなくなってきている。

アディティブマニュファクチャリング(AM=積層造形)機は、全世界でパウダーベッドタイプが毎月5~6台・年間60~70台、パウダースプレータイプも年間40台の販売実績があり、すでに100億円の部門となっている。今後2030年にかけて500億円部門へと成長させるべく、お客様の材料に基づいて共同研究すると同時に、受託生産を行う「AM Lab & Fab」を今夏から開始する。

多くのAM機は事務機的、実験機的なつくりになっているが、当社製は10年、20年と安心して使えるAM機として、徐々に浸透してきていると考えている。

 

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そのほか、ワークハンドリング、パレットハンドリングといった自動化促進、自社での製造においては、DMG MORI FABTECH TRUMPF社製ロボット溶接システムの導入(溶接作業時間80%減)、伊賀工場でのTULIP(全ての作業プロセスのデジタル化による作業性・習熟・品質の向上)の導入等についてふれ、5軸加工機の普及および、全国70ヶ所で5軸機70台を貸し出しての「5軸加工研究会」発足から約1年について、森社長は次のように言及した。

「おかげさまで、貸し出した機械70台はほぼ完売し、附随して100台ほどの販売もありビジネスとしても大成功だったが、何よりも、2千名強の人たちが実際に5軸加工機を使いこなし、CAD/CAMや三次元測定機での計測といった工程、流れを味わえたことが良かったと思う。好評につき、新たに50ヶ所を選び、今年も継続していきたい」。

 

5軸加工研究会は、18年8月から19年12月に累計でプライベートレッスン788回を開催し、2277名が参加した。

日本の5軸機受注比率が13%↓20%に

なお、同社の19年の5軸機受注比率は18年に比べ、日本で13%から20%に、グローバルでは34%から38%となっている。