徹底したコロナ対策施し「開かれた株主総会」開催

「培ってきたオーエスジーのDNA、根っこにある商売の原則部分は不変」

自動車産業で想定以上のスピードで進む電動化移行―OSGが地球規模で進めてきた技術・営業のサービス、生産体制は大きなプラスに働く

オーエスジー(本社=愛知県豊川市)は2月20日、同社の開発拠点であるオーエスジーアカデミー内のグローバルテクノロジーセンターを会場に、第108回定時株主総会を開き、40名が出席した。

当時、愛知県には新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大予防のために非常事態宣言が発令されており、これまで経験したことのない非常に制約の多い中での開催となったが、同社の目指す「開かれた株主総会」の精神で、出席した株主の安全と健康を第一に考え、徹底した感染予防対策が施された。

今回は、海外も含めて本社のある愛知県外に居住するオーエスジー役員はリモートでの参加とし、モニター上に姿を映すスタイルが採られ、会場の役員も全員マスクを着用、議長を務めた石川則男社長(※総会開催当時/その後の取締役会での承認を経て、同日付で代表取締役会長 兼 CEOに就任)は、飛散防止パネル越しに議事を進行した。

議案審議に先立ち同社を取り巻く経営環境の説明および映像とナレーションによる事業報告で語られた「オーエスジーの現時点」は、概ね次のとおりとなる―。

自動車産業では特に、電動化といったことが大きなテーマとなっており、電動化への移行は想定よりも少し早いペースで進行中である。中でもハイブリッド、EV、それに伴う安全技術、自動走行技術といった分野での様々な部品の共通モジュール化、そしてそれらの部品の生産効率化、生産拠点の集約化が思った以上のスピードで進んでいる。

このような環境の変化は、オーエスジーが進めてきた地球規模での技術、営業のサービス、そして地球規模での生産体制は大きなプラスに働くものと認識している。結果として、今まではそれほど取引が大きくなかった欧米メーカー、大手メーカーからシェアアップといったところが期待できる状況になりつつある。

コーティング技術切り口に進化、拡大に期待

電動化部品に対応する新技術、新製品の分野において、オーエスジーはコーティング技術を切り口として進化、拡大を図りたい。近年はトルコをはじめインドにもコーティングサービスを提供する施設を設置し、今年はベトナムでもサービスを開始するなど、現在、グローバルに拡充しているコーティングセンターも今後の新ビジネスとして期待ができると考えている。

昨年度(2020年11月期)の連結業績は、売上高は1043億8800万円、営業利益は83億9600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は56億3900万円の結果となった。

昨期は新型コロナの影響で工具需要が激減したが、中国における自動車産業の回復が大きな力となり、5月を底に回復傾向となり、流通在庫の調整も9月以降順調に進んだ。

一方、欧州の販路拡充および欧米での航空機産業向けビジネス強化のためのM&Aなど、海外事業の強化にも注力した。さらに、将来性の高いコーティング事業への投資も行った。

日本では生産体制の刷新を目指し、超多品種小ロット生産でのリードタイムの短縮と、大きなロットの無人化生産を両立する「NEO(ネオ)新城工場」を昨年5月に立ち上げ、超硬タップ、超硬ドリルなどの高能率工具の生産を開始している。国内マザー工場の大規模なリニューアルは実に30年ぶりとなり、今後は、NEO新城工場での取り組みを全製造部門へ展開していく。

エフピーツールがグループ会社に/欧州M&Aでネットワーク強化

また昨年7月には、京都に本社を置き、創立77周年を迎えるエフピーツールがオーエスジーグループに加わった。エフピーツールが生産を得意とする穴仕上げ工具、リーマーは、自動車産業をはじめ、精密部品加工においてニーズが高く、これからさらなる成長が見込まれ、相乗効果で、今後、競争力をよりいっそう強化していく。

さらに欧州では、イタリアのFIUDI(フィウディ)社のM&Aによりダイヤモンド工具の充実を図り、ドイツMAG(マグ)社のコールドフォーミング部門をグループ会社化し、自動車のEV化における部品の軽量化に有効な「中空転造技術」を装置と工具の両面で、欧州の自動車産業に広めていくなど、オーエスジーは近年、欧州、アフリカにおいて有力な工具メーカーをグループに迎え、製販両面で強固なネットワークづくりに努めており、今後はこれを活かして、積極的に事業を展開していく。

なお、オーエスジーは、中期経営計画「The Next Stage 17」として、昨年度=2020年11月期の目標達成を目指してきた。残念ながら2019年の米中貿易摩擦や2020年の新型コロナの影響により切削工具の需要が大幅減となり、中期目標の達成には至らなかったが、今後は新たな経営体制で新中期経営計画の策定を進めていく。

短期の間に道筋を示し、歩むことが我が使命

その新経営体制の旗手となる大沢伸朗専務(※総会開催当時/その後の取締役会での承認を経て、同日付で代表取締役社長 兼 COOに就任)は、新社長就任予定にあたり、英国のEU離脱問題や米国のトランプ前大統領の台頭といった時期に使われた「VUCA」(ブーカ)という言葉を引き合いに出しながら、次の旨あいさつと抱負を述べた―。

「その4つの頭文字文字をとったVUCAとは、日本語にするとVは変動的、Uは不確実、Cは複雑、Aは曖昧・ぼやけている、という感じになる。

コロナ禍が生じ、特に昨年、最もオーエスジーにとって打撃が大きかったことは、航空機産業のこれからの長期にわたる低迷ということが挙げられる。まさに我々が大きく柱にしていこうと、一生懸命取り組んでいた部分が突如として方向転換を迫られるというような形の、今まで常識と思っていたことが突然、一変してしまうということを、まざまざと経験した年になった。

加えて、自動車産業におけるEV化の波も、この方向性に進んで行くとはいえ、VUCAと同様で、まだまだ見通しが、予測が難しいというふうに認識している。

オーエスジーは今年83周年を迎えるが、この80年以上にわたって歩んできた、培ってきたオーエスジーのDNA、チャレンジと不屈の精神、我々の根っこにあるオーエスジーの商売の原則部分は不変だと思っている。

そのあたりを上手に活かして、この予測不能な時代の中でオーエスジーとして百周年を迎える時に、いま以上に輝きを放っている会社になるという、この先短期の間に、オーエスジーとして道筋を示し、そちらに向かって歩んでいくということが、私の使命だと認識している」。