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ユーザー通信 241号 2面 「仁科会館」竣工33周年 安田工業が超高解像度大型グラフィックパネルを寄贈

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安田工業が超高解像度大型グラフィックパネルを寄贈


除幕式開催、火星探査機の「自撮り」による圧倒的臨場感・スケール感お披露目

安田工業は、本社にほど近い「仁科会館」(岡山県浅口郡里庄町浜中892-1)に新しい大型グラフィックパネル(幅5m、高さ2・7m)等を寄贈、設置した。同会館の竣工33周年となる4月11日、除幕式が午前中に開催され、安田工業からは安田拓人社長、平田泰弘取締役、川﨑哲生氏が出席した。

仁科会館は「世界に誇る日本原子物理学の父」と呼ばれる岡山県里庄町の偉人、仁科芳雄博士の顕彰展示施設(科学教育施設)で、研修室には以前、スペースシャトルの大型写真が初代パネルとして設置され、安田工業製の飛行機エンジン部品が長い間展示されていたが、スペースシャトルはすでに退役し、写真も退色が進んだため写真パネルの廃棄を考えていたところ、安田工業から新しいグラフィックパネルの設置が提案された。

NASAがアカデミック・博物館展示用途でクリエイティブコモンズとして二次利用を許可している画像提供サービスから、火星探査ローバー「キュリオシティ」によって火星表面が「自撮り」された超高解像画像を利用し大型グラフィックパネルを製作。科学技術のすばらしい力、魅力、それにより人類が実現した夢をわかりやすく、最大限に伝えるために、既存展示領域の横幅を2・3mから5mへと大きく拡大するなど、コンセプト考案、デザイン、製作、設置、これらすべてを安田工業が手掛けた。

それにとどまらず、エンジン部品にも適切な説明パネルを付与。YASDA製マシニングセンタ(YBM 90N)で加工されたことも適切に情報として掲載し、国内産業・技術のPRと併せて、地元企業としての存在感にも寄与することを目的とした。

また新たに、船外活動宇宙服バブルヘルメットの実物が安田社長から提供され展示品として贈呈。常設展示ではショーケースにてしっかりと保管し、科学イベントなどでは実際に子供たちに被ってもらうなどして、学びの経験の一助として活用するなど、科学技術をテーマとした展示の充実により先端技術企業ならではの立場で地域に貢献できる事業と位置づける。

式典では、科学振興仁科財団の加藤泰久理事長が、「宇宙進出の状況が大きく様変わりしている状況に相応しい、迫力満点、臨場感あふれる素晴らしいパネルを初めて見て、心から感動している」旨あいさつ。

続いて、安田工業の安田社長は、「宇宙時代の到来に符号し、人類がますます発展していくようなイメージを検討した結果この写真を選んだ。キュリオシティが実際に撮ったリアルさ、そこがおもしろいと思い、拡大しさらにリアル感が増した。想像するところから、いろいろなことがスタートするのではないか。ここを訪れる子どもたちがこのパネルを見て、宇宙開発や科学技術の道へ進むきっかけになったといってもらえるようになればと願う。里庄町というこの小さな町から、科学振興を担い発展させるようなエンジニアが現れるといいなと思う」とあいさつした。

パネルのデザインを担当した安田工業の川﨑氏によれば、小惑星探査機「はやぶさ2」の成功も記憶に新しいJAXAが、今後10年程度の間に再度の有人月面探査、火星探査などが計画されていることを念頭に置き、引き続き「航空・宇宙開発」をテーマとし、次代を担う子どもたちら来場者の興味を惹き、科学技術への関心を大いに高めてもらうことが狙いだという。

なお、仁科会館が主催するロボットコンテスト(ロボコン/岡山県内の中学生・高校生が参加し、ものづくりの技と創造性を競う大会)でも安田工業は審査を務めるなど多方面にわたり協力している。

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