シギヤ精機製作所製ユーザー「和光技研工業( 愛知県)」

138shigiya1 「B787」の商業運航再開が、目前と言われている。自動車関連を中心とした国内の加工現場の回復が、じりじりとしか進んでいない状況を見ると、航空機関連産業の活性化につながる情報は喜ばしい話だ。特に、工具メーカーにとっては、関心事が高い。
 愛知県刈谷市の和光技研工業は、各種金型の設計製作を行う金型事業部を中心に、ドリルやリーマなどの穴加工工具、特殊工具の設計製造販売を行うツール事業部、生産ライン上の各種治工具や専用機部品の設計製作を行う工機事業部など、ものづくりにかかわる幅広い事業を行っている。
 ツール事業部では、1982年から超硬工具の外販を本格化。再研磨業と並行しながら特殊工具の新作販売を 

写真:シギヤ精機製作所「GPV-10・20」

 かつての主要顧客は、自動車産業が中心だったが、「特殊工具」の製造実績を増やす中で、顧客が多様化。現在では、航空機関連ユーザーに向けた工具の開発が中心となってきているという。
 工具の供給を通じて、長らく遅れてきた「『787』の製造の本格化が間近だと感じる」とツール事業部の伊藤司部長は言う。
 「国内の各重工メーカーさんは、航空機の増産体制を整えつつある。各社そろって月産7~10台体制になると噂されている。当然、工具需要は拡大すると思われるが、工具メーカーとしての供給責任があり、設備の増強は課題となっている」
 現在、同社が生産する工具の中で、航空機関連向けが占める割合は、50%程度。注文頻度の低いものまで含め、総アイテム数としておよそ150種類あるといい、月平均では60種類弱製造しているという。単純計算で平均をとってみると、1ロット20本程度になるという。中には100本程度ロットの纏まるものもあるというから、逆に、1桁単位での注文も少なくない。特殊工具の製造に強い同社ならではの、段取り替えが非常に多い現場だ。
 「ここ最近、忙しい毎日が続いている」と生産①グループの福島新悟GL(グループリーダー)は話す。
 「当社の強みは培ってきた技術を生かしてニッチなニーズの特殊工具を作れる点。ロー付け工具も多い。最近では、Φ175㎜のTスロットカッターが例。スチールシャンク芯の部分に超硬部材をハメ込んでロー付けするのだが、寸法が厳しい上に、何度も焼入れする必要があって手間がかかる。もちろん超硬チップもロー付けするわけで、作業者の技量に掛かる工具の代表格と言える。このような手離れの悪いものが多いために、生産性の改善に向け、新しい設備を探し始めていた」
 どうしても手間がかかる作業が多い現場で生産効率を上げるには、ボトルネックとなっている工程を見つけ出し、手間のかからない作業の自動化や工程短縮がカギとなる。同社では、海外製のローダー付きの工具研削盤を用いて、ロットがまとまった工具製造の24時間体制は整えているものの、工具製造の前段取りである「ブランク」の製造工程で苦しんでいた。
 「ブランクの加工は、従来から、汎用機を用いて行っていた。これでは、人が居る時間しか加工ができない。自動化を考えながら設備の選定をしていたところに、シギヤ精機製作所さんの『GPV‐10・20』を知った」  ある展示会で小さな立形研削盤の前に人だかりができていたことを、伊藤部長が思い出して引き合いを出したのだという。
 紆余曲折を得て導入されてきた「GPV」を目にして、担当のオペレータとなった同事業部の佐田有祐さんの第1印象は「小さいな」。
 「従来使っていたものと比べると、その小ささに驚いた。我々のようなキャパに上限がある工場では、設置スペースは非常に大事な要素。仕事が増え、物が増えると置く場所がなくなっていく。特殊品が多い仕事柄、汎用機をゼロにするわけにはいかず、機械の台数も増やさざるを得ない。最初、他社のNC機を導入したが、そのメーカーさんで一番小さなものであっても、工場に来るとやはり大きい。そのような中で、シギヤさんの『GPV』はすっきりとしていて、非常に良いと思った」
 いざ使い始めると、使い勝手も問題がなく、精度も安定していた。
 「機械そのものの能力は高いと思う。立ち上げのときも、最初の4日ほどのトレーニング期間を終えると、すぐに順調に稼働し始め、寸法も安定していた」
 「自動化を考えると、使い勝手のよさそうな機種だと思う」と福島GL。「ロボットと『GPV』複数台を組み合わせれば、かなり効率的にブランクの加工を行えるようになる。ただ、スタッフの平均年齢が30代半ばの若い職場で、各人のスキルアップが課題。汎用機の知識があっても、それをNC化する中で、勘違いなどがある。『GPV』でも、短尺ワークの加工ではなかった芯ブレが長尺ワークの加工で出てきて課題となっている。仕様を変更することで解決するとは考えているが、技術的に解決できる道も探りたい。シギヤさんは、NC機でも『マイスターハンドル』を付けた汎用機仕様の『GPH』シリーズなども開発されており、職人がとっかかり易いNC機械の開発をされている。当社の問題解決にも、サポートを期待したい」
ユーザー通信138号(2013.6.1)掲載