碌々産業ユーザー「三洋技研」

136android 三洋技研は、親会社である三洋機工でプレス型、その棲み分けとしてプラスチック金型を手掛ける事業部として昭和61年に発足した。
 平成8年に部長に就任した田端泰裕執行役員によると「7人のメンバーでスタートしたが、NC工作機械を使っていたのが数名いただけで放電・ワイヤはまったく初めての素人集団だった。私自身は機械設計を担当していた」そうだ。

 

写真:荒から仕上げまでをフォローするAndroid

 顧客が研修先、そんな努力を積み重ねながらも、腐心した点は常に最先端の設備機械を導入し、他社ではできないものづくりを模索していくことだった。
 「顧客の生産技術の肩代わりを志向。試作で成形も手掛けるうち、メーカー直の受注に成功、拡大していく。一例を挙げると、CKD、アイシン精機、パナソニックと、大手からも信頼を得るようになっていった」と言う。  現在、コアの顧客は10社程度、トータルでは30社を数える。
 「妥協しない、というのが我々の信条。日本で残るものづくりに通じていくからで、工程で手を抜く気はない」と田端執行役員はきっぱり。
 プラスチック金型関連の特徴は、製品に変数が多数あることだそうで、型の製作に当たっては、変数による顧客の負担を減らすことに力点を置く、とも。
 「求められる公差は通常、5ミクロン前後だが、2ミクロンが求められることもある」。
 田端執行役員が先端の設備で「別世界」を実感したのは1998年に導入した安田工業のYBM640による高速加工。
 「2万回転の世界は未体験。ワークは基本的に焼入れ鋼(HRC55程度)だが、これ以降、高速・直彫りが当社では通常になっていった」。
 牧野フライスのV33の2台導入も、この流れに沿った設備だった。
 「碌々産業さんとの出会いはMEGAで、2007年に設備した。驚いたのは100分台の刃物が自在に扱えることで、しかも、電極の加工で月間稼働時間は650時間にも上るというのにノントラブル。文句なしに信頼の置ける機械メーカーとの認識を得た。また、機械を売った後のフォローが素晴らしく、たとえば、初めて使う刃物のテストカットのサポートやCAMの提案、加工条件に対する助言と、決して売りっぱなしにはしない」と諸手を挙げる。
 機械単体だけの評価ではない。営業とアプリケーションスタッフ双方のフォローが、言わば、田端執行役員をして「Android」導入に向かわせたことになる。機械の性能については「MEGA」で実証済みだからだ。
 「Androidを設備したのは2011年9月。事前の認識では、仕上げにしか適用できないと考えていたが、使ってみると荒から仕上げまでをカバー、守備範囲が広い。しかもボールエンドミルでは100分の2R~100R分の5Rが使える。使用工具は日進工具製が多い。精度はNC旋盤よりもいい。ある眼鏡関連のメーカーから初めて心臓部の金型が外注に出され、当社が受注したが、その仕事を可能にしたのがAndroidに他ならない」というのが、導入から1年半の、ざっくりとした田端執行役員の感想だ。
 ワンチャックによる工程短縮、スピンドルの剛性の高さが特に魅力的とも言い添えた。2万回転から3万5千回転で使用し、月間稼働時間は300時間だ。
 「従来よりもいっそう、小径が使えるので放電からのリプレースが加速。ボールねじでは必要だった調整加工もリニア駆動のため不要となり、工程管理上も一役買ってくれている」。
 切削工具の消費は現場全体で月間およそ400万円、Androidだけでも100万円はあると言う。
 「メーカーへの要望としてはAndroidに追従する5軸のリリースだろうか。たとえば、リニア駆動に追従できるターンテーブルがあれば言う事はない」。
 三洋技研のスタッフ数は22人、平均年齢では36歳くらいだ。
 「管理上の点や特急品対応の頻度などを考慮すれば、単純に人は増やせない。今後、設備に関しては、これまでマシニングセンタに力を入れてきたので、放電・ワイヤ関連に注力していきたい」。
ユーザー通信136号(2013.4.1)掲載