測定環境あっての高精度工作機械 「基準」をつくり続けてきた歴史あり

「故郷は測定」
三井精機 工作機械工場

測定環境あっての高精度工作機械
「基準」をつくり続けてきた歴史あり

工作機械は、空調や基礎、照明といった環境面で、厳しい管理のもと生産されるのは周知のとおり。
三井精機工業(本社=埼玉県比企郡川島町八幡、奥田哲司社長)の工作機械工場(精機棟)では、その最たるが「精密測定室」となる。
当然ながら、「高精度な工作機械をつくるためには、高精度な測定が必要」。例えば、1μmの精度を正確に測るためには、測定器には0・1μmの精度が要求される。
「まずは、測定する環境から」が、世界的に航空機関係への納入実績の多さを物語っているともいえる。
それもそのはず、三井精機は元々、測定器の生産からスタートした会社(1928年創業)。ブロックゲージやマイクロメータからはじまり、親ねじやスタンダードスケールなどの「基準」をつくり続けてきた歴史がある。測定を知り尽くしている会社だからこそ、高精度工作機械の生産が可能というわけだ。
コンプレッサ、工作機械のみならず、現在でも測定機はつくり続けている。ねじのリードを高精度・高能率に測定可能な「レーザー式ねじリード測定機」だが、実はいまの世の中に、高精度なねじリード測定器は、ほとんどないそうだ。
三井精機のポリシーは、1μmの精度のつくり込み。ものによってはそれ以下となる。では、その1μmの評価をどうするのかというとき「確認する方法」、つまり、測定室や測定器、技能、評価の方法が非常に大事。精度はさまざまだが、「基準と測り方」がしっかりしていなければならない。
このように、測定器の生産、長さの基準などに携わる源流だからこそ、「測定環境あっての高精度。故郷は測定」といえる。
ちなみに、長さの基準となる、ものさし「標準尺」(メートル原器)の生産・販売も、かつては手掛けていた。目盛りが切ってあり、かなり精度が高く、他社工作機械メーカーにもよく販売していた。
また、ジグボーラーには台形ねじが入っているが、併せて、この標準尺が入っており、目盛りを光学的に千分割して、位置決め精度を出していたようだ(1975年頃まで)。
なお、ジグボーラーについては、土台がしっかりしているので、ジグボーラー自体の精度が非常に高く、削ったワークに対する測定器にもなる。そのため、ジグボーラーベースの三次元測定機もあったという。
精密測定室は、基礎を周囲から完全遮断し、パイル+3m厚さのコンクリートで振動に対しても万全に対策している。また、恒温工場の中にさらに内部建ての構造になっており、温度の安定性がこの工場の中で最も高く、20℃±0・1℃に保たれている。
温度管理でいえば、現在でこそ、どの工作機械メーカーでも温度管理を行っているが、三井精機は「戦前」から行っている。温度管理の重要性を認識するという意味では歴史は古い。
一方、機械を納入するユーザー側では、温度管理を徹底的に行っている工場は、まだ多いとはいえない。
そこでよく出るのが、「機械を使う環境が、自然と同じ温度変化をしているのに、温度管理して機械をつくっても意味がない」といった話。
だがそれは、「大きな間違い」だ。メーカーが温度管理をせずに、精密な機械がつくれるわけがなく、「きさげ」からして狂ってしまう。土台がしっかりとできていなければ、例え、温度管理を徹底行しているユーザーでも、機械を適切には使えない。温度変化の傾向が分かっていればこそ、補正の入れ方も決まってくるからだ。
温度でいえば、最近、精機棟では照明のLED化と太陽光発電の導入が進んだことにより、「温度管理的にも、費用的にも良くなった」と文字通り、明るい話題が追随した。