日本アイ・ティ・エフ、コーティングセミナー
「DLCならアイ・ティ・エフ」に自負 ―― 大原社長

芝原氏(前社長)・菅沼氏(前常務)両顧問らが3テーマを講演

 

 

日本アイ・ティ・エフ(本社=京都市南区久世殿城町/以下、ITF)による年末恒例の「コーティングセミナー」が11月8日、大阪市北区の梅田スカイビルにて開催され、ユーザー、商社、関係者ら90名が参集した。

タイトルの英文表記は今回も、「Catch the Stars of Stars!」を3年連続で踏襲し、今年は「パイオニアだからできること」と訳すなか「3本立て」の講演が催された。

その講演に先立ち、あいさつに立った大原久典社長の話もまた、「4本目の講演」かと思えるほど、端的に同社コーティング技術の歴史、経緯そのものがわかる内容となった。

大原社長はまず、「今年6月に芝原前社長からバトンを受け、ITF設立以来8代目、令和初の社長に就任し、身が引き締まる思い」と前置きしたうえで、住友電気工業(親会社)からの出向で1985(昭和60)年のITF設立から当初4年間にも携わっていた大原社長は、「20人中の一技術部員として、久世の地でコーティング装置と格闘していた」と立ち上げ当時を振り返った。

続けて、「当社は昭和末期に誕生し、平成の30年間を経て『DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングならITF』とのポジションを築けた。当時はこのようになろうとは思いもしなかったが、90年代に開発していたDLCが日産自動車に採用され、クルマの燃費を向上させたことが、2000年代初頭の非常に大きなトピックだった」と述懐した。

そのうえで、「当時は水素を含んだDLCが主流だった。そこに水素を含まないDLCを開発、登場させてから16年経つが、現在でもITFの主力商品であり、特に工具と金型における長寿命化には、かなりの自負がある」と続け、「このように、製造ラインの原価低減や製品の差別化、高性能化に寄与するコーティングの進化は、ユーザー様の知恵と声を反映させ、成長してこれたからこそであり、日頃のご愛顧に感謝したい」旨述べた。

そして本題の講演では第一部として、前社長の芝原和人特別顧問による「『仕事の流儀』と『目指した会社』」、また前常務の菅沼直敏常任顧問による「グローバル化の名の下に(海外駐在員のエトセトラ)」をテーマとし、両顧問各々の経験や知識に基づいた内容が語られた。

「新しい職場は2年間で卒業」(芝原氏)

ITFの社長を8年間務めた芝原氏は、「親会社(日新電機)で8回、ITFで4回、計12回の異動経験を持つ」という。そんななか、入社以来40年で培われた仕事の流儀として、概ね、「新しい職場は2年間で卒業」、「『決める』ことが非常に大切」、「「その次は、その次はと『考えぬく』習慣」等を挙げた。
「最初の事業部とITFを除けば、各部署には約2年の滞在だった。これだけ異動すると2年で部署を変わることに慣れてくる」。
1ヶ月目は職場の様子を観察、2ヶ月目は実際に考えたアイデアや仕組み(会議の中身や進め方)を試す、3ヶ月目にどんな職場・組織に仕上げるかを描く、4ヶ月目には実行し、2年後に良い職場にして卒業・・・と事例を示しながら、「終わり方を決めないと卒業できない。自分がいなくても組織が活性化した状態が継続できるには、人の育成、組織の成長は欠かせない」などを説いた。

「グローバリゼーションの本質」(菅沼氏)

続いて、職歴の中で海外関係の仕事に携わる機会が多かった菅沼氏は、海外駐在員のエピソードなどを交えながら、「グローバリゼーションの本質がわかって説明されるケースとそうでない場合がある。グローバル化には必ず何らかの制約があるとの前提が理解として必要」と強調した。
加えて、「現地で『いい顔』をして安請合を連発する」、「聞きかじった部分、自分が理解できた部分、そんな重要でない部分を報告書に書いたりする」、「『ああいうお客様をもっと増やせ』という」、「『ここはいいところ』と駐在員の前で連発」等々を、「日本からの出張者に時として悩まされる」こととして紹介した。

DLC膜の最新応用と可能性―「未来の自動車部品」のターゲット

さらに第二部として、同社技術開発部 執行役員の三宅浩二氏が「DLC膜の最新応用と可能性」をテーマに、DLC膜の特徴と製法、DLC膜の自動車部品や機械・工具・金型などへの応用展開、最新のDLC応用技術、生産技術改革などについて解説した。

このうち、最新のDLC応用技術では、「未来の自動車部品のターゲット」として、電動車両部品においては、軸受(すべり、転がり)、ギア、電動ウォーターポンプ、水素摺動部品が電動化に伴い、従来より厳しい、新たな摺動環境におかれ、また「電装部品の小型軽量化、高出力・高効率、EV化により使用条件がますます過酷になり深刻化するといわれている」ことから、ベアリングへやギアへのDLC膜適用、DLC膜による水素脆化抑制、ローラー試験での摩擦係数の比較等々への取り組みなどを説明した。